不動産取引における仲介手数料無料とは

部屋を借りる時、マイホームを購入するとき不動産会社に支払う仲介手数料無料と謳っている広告をよく目にします。

今回は仲介手数料無料のカラクリと注意点を踏まえて安全安心して契約ができるようにご参考いただければと思います。

仲介手数料とは?

不動産の仲介手数料とは、不動産の売買や賃貸契約を仲介する不動産業者(仲介業者)に支払う手数料のことです。この手数料は、仲介業者が物件の紹介、契約の手続き、物件の調査、交渉の代行などを行うことに対する報酬として支払われます。

仲介手数料の金額は法律で上限が定められており、日本では次のようになっています。

売買の場合

物件価格の3%+6万円(消費税別)

5,000万円の物件の場合、上限171,6万円が仲介手数料として請求されます。

賃貸の場合

家賃の0.5か月分(消費税別)※管理費・共益費は含みません。

ここで注意していただきたい点は、賃貸借契約では原則賃料の0.5ヶ月分(税抜)を契約に際して不動産会社へ報酬として支払うことになります。しかし、よく世間では「1ヶ月分じゃないの?」と当たり前のように思っている方もいらっしゃいます。実は、宅建業法において賃貸借契約では、同意がない限り1ヶ月分の仲介手数料を請求してはならないと明記されています。

宅地建物取引業法 第46条

(報酬に関する規定)

  1. 宅地建物取引業者が依頼者から受け取る報酬についての制限
    • 宅地建物取引業者が依頼者から受け取ることができる報酬の額は、国土交通省令で定める額を超えてはならない。
    • 賃貸借契約の媒介においては、報酬の額は借賃の1か月分を超えることができない。
  2. 報酬の額についての書面による同意
    • 賃貸借契約において、宅地建物取引業者が依頼者から受け取る報酬の額については、依頼者の事前の書面による同意が必要。

宅建業法第46条では、具体的な報酬の上限や同意の必要性が明記されています。これにより、不動産仲介業者が適正な手数料を請求し、依頼者が納得した上で契約を進めるための基盤が整えられています。したがって、同意なしに1ヶ月分を請求された場合は確認することをおすすめいたします。

仲介手数料無料のカラクリ

不動産会社の主な収入源は仲介手数料です。

では、なぜ無料にすることができるのでしょうか。

仲介手数料が無料になる仕組みには、いくつかのパターンやカラクリがあります。以下はその主な例です

貸主(オーナー)からの報酬

不動産会社は、物件の貸主から手数料を受け取ることがあります。通常、仲介手数料は賃借人と貸主の双方から半額ずつ受け取ることが多いですが、貸主が全額を負担することで、借主に対しては手数料無料を提供するケースがあります。

広告費(AD)や紹介料

物件の貸主が不動産会社に対して、広告費や紹介料を支払う場合があります。この費用が仲介手数料の代わりとなるため、借主に対して手数料無料を提供できるのです。例えば、1ヶ月分の家賃相当の広告費を貸主が不動産会社に支払うことがあります。

専任媒介契約

不動産会社が貸主と専任媒介契約を結んでいる場合、貸主はその不動産会社だけに仲介を依頼します。この場合、貸主からのみ手数料や報酬を受け取ることが多く、借主に対して手数料無料を提供できることがあります。

他のサービスや収益源

一部の不動産会社は、引越しサービスやインターネット接続、保険などの関連サービスを提供し、これらのサービスからの収益で仲介手数料を補っています。このため、仲介手数料を無料にすることが可能となります。

キャンペーンやプロモーション

一部の不動産会社は、期間限定のキャンペーンやプロモーションとして仲介手数料無料を提供することがあります。これは新規顧客を獲得するためのマーケティング戦略の一環です。

注意点

仲介手数料が無料になる場合でも、以下の点に注意することが重要です:

  • 別途費用:他の名目で費用がかかる場合があります(例えば、室内清掃費、事務手数料など)。
  • 条件:特定の条件を満たす必要がある場合があります。
  • サービス内容:提供されるサービスの範囲や質が異なる場合があります。

このような仕組みを理解することで、仲介手数料無料のメリットを享受しつつ、安心して不動産取引を行うことができます。

不動産明王
不動産明王

見積書を見て、不要な項目を断ることもできるので気になる方は一度不動産屋さんにカット出来る項目があるか聞いてみるのもありですね!

仲介手数料無料物件のデメリット

仲介手数料無料の物件には魅力がありますが、いくつかのデメリットも存在します。以下に、仲介手数料無料物件の主なデメリットを挙げます。

物件の選択肢が限られる

手数料無料の物件は限られているため、希望する地域や条件に合う物件が少ない場合があります。選択肢が少ないため、妥協する点が多くなることがあります。

他の費用がかかる可能性

仲介手数料が無料でも、他の名目で費用がかかる場合があります。例えば、以下のような費用が考えられます:

  • 事務手数料:契約書作成や管理費用として別途請求されることがあります。
  • 保険料:火災保険や家財保険の加入が必須であり、その費用がかかることがあります。
  • 保証会社の利用料:保証会社を利用する場合、その手数料が必要になることがあります。
  • 早期解約手数料:1年以内の解約は違約金2ヶ月分請求などの条件がある場合もあります。

サービスの質が低い可能性

手数料無料の物件を扱う不動産会社は、コストを抑えるためにサービスの質が低くなることがあります。例えば、物件の内覧や契約手続きが迅速に行われない、アフターサービスが不十分であるなどです。

広告料(AD)の影響

手数料無料の物件は、オーナーからの広告料(AD)で補われていることが多いです。広告料が高い物件は、必ずしも借主にとって最適な選択であるとは限りません。不動産会社は、広告料の高い物件を優先して紹介することがあるため、自分の希望に完全に一致しない物件が勧められる可能性があります。

隠れた契約条件

契約条件や物件の状態について、不十分な説明がされる場合があります。特に、手数料無料を謳っている場合、そのメリットを強調するあまり、他の重要な情報が十分に伝えられないことがあります。

物件の状態が悪い可能性

手数料無料の物件は、なかなか借り手が見つからない理由がある場合もあります。物件の状態が悪かったり、立地が不便だったりする可能性があるため、内見時には慎重に確認することが重要です。

まとめ

仲介手数料無料の物件を選ぶ際には、上記のデメリットを十分に考慮し、物件の詳細や契約内容をよく確認することが重要です。費用を抑える一方で、長期的に見て満足のいく住まいを見つけるために、バランスの取れた選択を心がけましょう。

不動産明王
不動産明王

手数料無料だからといって、借主にとって必ずしも100%有益な物件とは限りません!

無料物件ならではのメリット

仲介手数料無料物件には、以下のようなメリットがあります

初期費用の軽減

最大のメリットは、初期費用を大幅に削減できることです。通常の賃貸契約では、仲介手数料として家賃の1か月分がかかりますが、これが不要になるため、引越し時の負担が軽くなります。

総支出の節約

仲介手数料が無料になることで、全体のコストが抑えられます。浮いたお金を家具や家電の購入、引越し費用、その他の生活費に充てることができます。

心理的安心感

初期費用が低く抑えられることで、経済的な不安が軽減されます。これにより、新しい生活を始める際の心理的な安心感が得られます。

簡単な比較と検討

仲介手数料無料の物件は、通常の物件と比べてトータルコストがわかりやすいため、予算内での物件選びがしやすくなります。複雑な計算をせずに、純粋に家賃や立地、設備などの条件で比較検討ができます。

お得感

無料という点に魅力を感じる方も多く、お得感があります。初期費用を節約できることが、物件選びの決め手となる場合もあります。

競争力のある物件

仲介手数料無料の物件は、オーナーが早く借り手を見つけたいと考えているケースが多いため、良い条件の物件が含まれることがあります。オーナーが積極的に借り手を探しているため、条件交渉がしやすい場合もあります。

まとめ

仲介手数料無料の物件を選ぶことで、経済的な負担を軽減し、引越し時の初期費用を抑えることができます。また、簡単に比較検討できるため、予算内での物件選びがしやすくなります。ただし、無料だからといって物件の質や条件を妥協しないように、十分な情報収集と確認が重要です。

不動産明王
不動産明王

希望の条件に沿った物件で、物件自体に瑕疵がなければ第一候補として考えても問題ないですね!

おわりに

世の中に、同じ物件は一つとしてありません。憂いなく生活するためには、仲介手数料無料という言葉にとらわれることなく、理想の物件に求める条件は何か、家賃・立地・広さ・設備など優先順位を明確に定めることが重要です。不動産会社によっては、仲介手数料無料にならず手数料が発生する物件であっても多少の値引き交渉も可能です。一つの会社だけでなく、相見積もりをとってみるのも一つの手段です。しかし、相見積もりを取り入居の申し込みをする際に気をつけなければならないことは、その物件が先に見積もりを取った自社管理物件であるか否かを確認してください。管理物件では先に見積もりをとった会社が最終的に入居の判断をするため、「先程、見積もり取ったお客様、別の店で申し込み入れたのか。」とマイナスなイメージを与えてしまい適当な理由から入居審査で落とされてしまうことも考えられます。

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